「おはよう」



リビングに入ると、アリスはキッチンにいた。


甘くて、どこか懐かしい香りがしてくる。



「あ、お、おはようございます」


「何してるの?」



そう言ってキッチンに入る俺と、なぜか慌てるアリス。



「い、いや、別に何も……。お昼ご飯、どうします?何か作りますよ?」



そう言って笑顔になるアリスだけど、その笑顔がどことなくぎこちなく感じる。


俺、昨日何かした?


そんなに酔っ払って帰って来たわけでもないけど……。


酔った勢いで何かした?


そんな事を考えながら冷蔵庫を開けようとした時。



「ダ、ダメです!開けたらダメです!」



アリスが慌てて冷蔵庫の前に立つ。



「えっ?何?喉乾いたから水飲みたいんだけど……」


「お水なら私が用意するので、桃谷さんはリビングに行ってて下さい!」


「あ、うん……」



冷蔵庫の中に何かあるのか?


アリスが安堵の表情を見せたのを見逃さなかった俺はリビングに行くフリをして、アリスの隙を見て冷蔵庫を開けた。