「私が言ったイケメンパティシエは桃谷さんではないよ」


「そうなの?」


「茶髪で童顔の人」



茶髪で童顔……。



「香取さんの事かな?」


「香取さんって言うんだぁ!」



杏の顔がパッと明るくなる。



「うん」



真奈さんが、茶髪で童顔の人が香取さんで、メガネをかけた人が高森さんだと言っていたはず……。



「笑顔が可愛いなぁと思って」


「うん、まぁ、確かに……」



でも香取さんって、若い子よりどちらかと言うと、おばさんたちに人気ありそうな顔してるよね。



「でも香取さんはパティシエじゃなくてパティシエ見習いみたいだけどね」


「そうなの?じゃあ、将来はイケメンパティシエだぁ!」



杏はそう言って頬を赤くして笑った。