「前にさぁ、私がイケメンパティシエの話をしたあとに、溝口先生に彼女いる噂あるからみたいな話をした時に、アリス必死でダメって止めたよね」 「うん……」 あぁ、やっぱり……。 杏は……。 「私が桃谷さんを好きになっちゃうって思ったから必死に止めたんでしょ?」 私は下を向いたまま何も言えなかった。 ライバルが親友なんて……。 「それ、アリスの勘違いだから」 「えっ?」 勘違い? どういうこと? 私は顔を上げて杏を見た。