「噂って、彼女がいるってやつ?」
「うん。しかもその彼女と今日入籍したんだって。イブの日に入籍って笑っちゃうよね」
溝口先生、結婚したんだ……。
「私、人のものを取る趣味ないしさ。それ聞いたら、どーでも良くなって。あんだけ好きだったのにね。自分でもビックリだよ。笑っちゃうでしょ?」
杏の言葉に私は何も言えず、首を左右に振った。
「その時、なぜか甘いもの……ペシェのケーキが無性に食べたくなっちゃって……。で、帰りに寄ったらアリスがいて……」
「うん……」
「笑顔で店員さんと話をしているアリスを見てたらムカついちゃって、あんな事言っちゃったんだ。アリスにとってはいい迷惑だったよね……ゴメンね……」
「杏、謝らないで?謝らないといけないのは私の方だから」
「アリス、大丈夫だよ。バイトの事は誰にも言わないから」
「その事じゃないの」
「えっ?」
杏は目を見開いて私を見る。
ちゃんと事情を話さなきゃね。
親友である杏に。
もう隠しておく事なんて出来ないよ。


