杏はずっと窓の外を見ていた。
私は少し下を向いてテーブルを見つめる。
周りは賑やかで、楽しそうな笑顔が聞こえてくるけど、私と杏のテーブルだけお通夜みたいに静かだった。
何か話さなきゃ。
そう思うけど、何から話していいのかわからない。
「ねぇ、アリス?」
沈黙を破ったのは杏だった。
「ん?な、何?」
杏から話しかけてきた事に驚いた私は顔を上げた。
杏は窓の外を見たまま。
「私ね……」
そう言った杏は、ゆっくりこちらを向く。
…………杏?
どうしたの?
こちらを向いた杏の目に、いっぱい涙が溜まっていた。


