「杏!待って!」
私はお店を出た杏に声をかけた。
立ち止まり、こちらを振り向く杏。
「ちょっと、いいかな?」
「何?」
「お茶でもしない?」
私は笑顔でそう言った。
無言で頷く杏。
「駅前のカフェに行こ?」
杏は肯定も否定もせず、私が歩き出したら後ろをついて来た。
駅前に行く道中も会話はない。
私と杏の距離も微妙だ。
閉店したあとの寂しい商店街と違って、イルミネーションで彩られた駅前はクリスマスイブの夜という事もあって凄く賑わっていた。
はしゃぐ人々、寄り添って歩く恋人たち。
そんな中、私と杏は無言で歩いていた。


