「オーナー、ちょっと」
真奈さんが桃谷さんの袖を引っ張り、小声でそう言うとロッカールームの方へ連れて行った。
「杏、この事は誰にも言わないで?お願い!」
「てか、アリスって、この店知らないとか言ってたのに、いきなりバイトって……」
そう言った杏の顔からさっきまでの笑顔はなかった。
「これにはいろいろと事情があって……」
「事情?どんな事情?」
「えっと……それは……」
その時、真奈さんが戻って来た。
「アリスちゃん、今日はもう上がっていいよ。あとは私1人で大丈夫だし。お友達とご飯でも食べて来たら?」
「えっ?でも……」
「いいから、ねっ?」
真奈さんは杏に聞こえないように小声でそう言った。
「すみません、真奈さん!」
私は真奈さんに頭を下げてロッカールームに行った。


