「いらっしゃいませ!」
キッチンから笑顔の桃谷さんが出て来た。
「あの時は、ありがとうございました!改めてお礼に伺いたかったんですが、仕事が忙しくて……。本当にありがとうございました」
お母さんが頭を深々と下げてお礼を言う。
「頭を上げて下さい。僕たちはお客様に喜んで頂く事が仕事なんですから」
「ケーキのお兄さん!これ、雪からクリスマスプレゼント!」
女の子が桃谷さんのコックコートの袖口を引っ張っる。
笑顔でしゃがむ桃谷さん。
「くれるの?」
「うん!」
「ありがとう!」
桃谷さんはそう言って、ラッピングされた小さな包みを受け取り、女の子の頭を撫でた。
「雪ちゃんのためにイチゴのケーキ作ったからママと一緒に食べてね」
「うん!」
「お忙しい時にすみませんでした」
お母さんはそう言って、もう1度頭を下げた。
「いえいえ。またいつでもいらして下さいね。ご来店お待ちしております」
桃谷さんも深々と頭を下げる。
私はお母さんにケーキの箱が入った紙袋を渡し、お金を受け取った。
お母さんと女の子は笑顔で店を出て行く。


