俺の言葉が聞こえたのか、香取くんと高森くんがホールに出て来た。
「オーナー、子猫って、この子の事だったんですか?」
「そうだよ」
「俺てっきり動物の猫かと……」
「誰も動物とは言ってないけど?」
「そうですけど、普通、子猫って言ったら……」
驚いた顔をする高森くん。
「ねぇ、名前は?」
それとは対照的に笑顔でアリスに話しかける香取くん。
キッチンではバイトの3人が我関せずで黙々と作業している。
「根古谷、アリス、です……」
「アリスちゃん、可愛い名前だね」
香取くんがニヤニヤしながらそう言う。
「アリスって本名だったんですね。俺、てっきりオーナーが付けた名前かと。動物の仔猫だと思ってたし」
高森くんがそう言う。
「ほらほら、君達はキッチンに戻る。真奈ちゃん?アリスに制服出してあげて?」
「はい!アリスちゃん、こっち来て?」
真奈ちゃんがアリスの手を引っ張って、ロッカールームに行った。