「ねぇ?アリスは好きな人いないの?」 杏にそう言われて飲んでいた紅茶を吹きそうになった。 「えっ?わ、私?」 「うん」 「私は……」 「いるの?」 私は首を左右に振った。 本当は、桃谷さんの事が……。 でも杏には言えなかった。 「いないの?」 「うん……」 私の頭に桃谷さんの顔が浮かび、胸がドクンと跳ね上がった。 「まぁ、確かにアリスって恋愛に興味なさそうだもんね」 「何、それ」 私はそう言ってクスクス笑った。