「ダ、ダメ!」
「えっ?アリス、どうしたの?」
杏が目を見開いて私を見た。
「あ、いや……ほら、だって、杏は溝口先生が好きなんだし……」
本当は杏も桃谷さんを好きになったらどうしようって不安でいっぱいだった。
だから思わず、ダメという言葉が口から出てしまった。
「溝口先生は好きだよ?でも人気あるし、それに……」
「何?」
「溝口先生、彼女がいるって噂聞いて……」
「で、でも好きなんでしょ?だったら諦めたらダメだよ!」
私は必死だった。
「う、うん……」
杏の返事を聞いて少し安心している私がいた。
でも、やっぱり心のどこかでは不安で……。
心の中がモヤモヤしていた。


