トレイにはケーキと紅茶が乗っていた。
チョコレートケーキとチーズケーキ。
「このケーキ、昨日話した商店街の中にあるイケメンパティシエがいるケーキ屋のやつなんだ」
「えっ?そ、そうなんだ」
桃谷さんのお店のケーキ。
私は初めて見るかのようにそう言って笑顔を見せた。
「アリスに食べさせたくて、今朝行って買って来たの。どっちがいい?」
「じゃあ、チーズケーキで」
杏は私の前にチーズケーキと紅茶を置いた。
桃谷さんのケーキを食べるのは2回目。
私はフォークで先端部分を刺して、チーズケーキを口に運んだ。
「美味しい!」
「でしょ?ここのケーキ、めっちゃ美味しいんだぁ!お菓子作りが上手くてイケメンで、彼氏にしたいくらいだよ」
杏はそう言ってクスリと笑うと、チョコレートケーキを頬張った。


