頭に浮かんできたのは、今朝の桃谷さんだった。 苦しそうに涙を流していた。 夢を見たと言ってたけど……。 でも何か考え込むような感じで、いつもの元気もなく、そのまま仕事に行ってしまった。 桃谷さん、何かあったのかなぁ? 「どうしたの?ボーとして」 杏が部屋に入って来た。 「あ、ううん。何でもない」 「ならいいけど」 杏は持っていたトレイをテーブルに置いた。