あの時。
俺がスキンヘッドに動揺していることは明らかだった。


それはが何なのか今はっきりした。


それがこの男性とどう結び付くのかはまだ判断は付かない。


でも俺は、やっとたどり着けたのだ。
俺の疑問の発祥箇所に。


それが、何なのか判らない。


でも、とてつもなく大きなことだと言うことだけは明らかだった。




 (――ボーンヘッド?

――確か野球用語で凡ミスのことだったよな?)
俺はわざと気持ちを変えた。
そうでもしないと、此処に居られないと思った。


(――ボーンって骨?

――だよな?

――ヘッドって頭?

――骨の頭……、ってゆうと髑髏?)


改めて俺の前にいる神妙な顔をしていスキンヘッドの男性を見てみた。


(――それにしてもこの頭は?)

俺はこの奇妙な偶然を、何故か笑いたくなっていた。


だって俺の前にいる男性が、余りにもハマり過ぎていたからだった。


俺にはこの男が、そんな犯罪に手を染めるヤツにはどうしても思えなくなっていたのだ。




 でも本当はみずほに対する照れ隠しだった。

まだまだ遣らなければいけないことばかりなのに、こんなことをしている場合ではなかったのだ。


(――こんなことか?)

それは、依頼人の彼女の写真にときめいた失態かな?

そうなんだ。
俺は有美にもときめいたんだ。

サッカー部のエースの彼女だと知りながら。


(――それにしてもあの時の有美は可愛かったな?

――あぁ言うのが小悪魔って言うのかな?

――俺だって惑わされたんだ。

――きっと他の男性もメロメロさ。

――ありゃ、又だ……

――みずほごめん。
愛しているのはお前だけだよ)

俺はみずほのコンパクトにそっと触れながら謝っていた。




 仕事の依頼はやはり浮気調査だった。
彼女が最近おかしいと言うのだ。


彼はロックグループのボーカルだと言った。


(――えっー!?)
俺は震え上がった。

さっきゴールドスカルによって垣間見た、木暮兄の記憶がよみがえっていた。


(――えっ、ロックグループのボーカル!?)

それと同時に違う記憶もよみがえっていた。


(――あー、もしかして?)

俺は思い出していた。
近頃売り出し中の奇妙キテレツなパフォーマンスユニットを。
グループ名・爆裂お遊戯隊。

今流行りのエアーバンドだった。




 「あのぅ、もしかしたらですが……、爆裂お遊戯隊の……」

そう彼は其処のリーダー兼ボーカルのボンドー原っぱだったのだ。


「すいません。さっきからずっと考えていました。不愉快な思いをなされたのではないですか?」

俺は精一杯丁寧に謝った。

だって俺、ツルツル頭がどうしょうもないほど気になってたんだ。


爆裂お遊戯隊。

メンバー全員が、ボン何とかーと言う名前を付けていた。
爆裂のボンバーからとったらしい。
リーダーは引き付けるボンドから。
そう聞いていた。




 ボンドー原っぱ……
勿論本名のはずがない。


(――へー原田学(はらだまなぶ)って言うんだ。

――割りとマトモ)

書類に書いた名前を見て思った。


顔を覚えているはずだ。
ついこのあいだテレビの歌番組で、売り出し中のロックグループとして紹介されたばっかだった。


(――爆裂お遊戯隊か?

――確かにすっ飛んでいたなあのグループ。

――でも驚きだ。
コイツがあんなに変わるなんて……)




 爆裂お遊戯隊……
見た目は大人。
でも服装は幼稚。


ってゆうか……
それが爆裂お遊戯隊のスタイルだった。


幼稚園児と同じようなスモックに今どき流行らない半ズボン。
黄色い安全帽にお通いバッグ。
どっから見てもなんちゃって幼稚園児。
いやコスプレかな?


そんな輩が舞台狭しと暴れまくる。

いや、踊りまくるだったかな?
まーそんなとこだった。


ボンドー原っぱは其処のボーカルだったのだ。