彼の話だと、最近の彼女がおかしい。
きっと浮気をしている。
そう思い込み此処にやって来たと言うことだった。


でも何故か俺は違和感を覚えた。


(――そんだけで普通あんなに震えるか?

――まぁ確かに外は寒いけどな

――でもあれは異常だったよ)

そう思いながら聞き耳を立てた。


彼女は写真嫌いで、ましてやツーショット何て撮らせてもくれない。

だけど、あまりにも可愛いから自慢したくてこっそり盗み撮りしてしまったようだ。


でも、迷惑行為等違反条例には違反してはいないらしい。


「プリントさせてもらってもいいかい?」

叔父さんの言葉にソイツは頷いた。




 そのついでに、俺の携帯にも画像を入れてもらうことにした。
だって俺もきっと探すことになると思ったからだった。


俺は胸ポケットからガラケーを取り出した。

変えられないんだ。
みずほからの電話はもう来るはずないのに……


――ガラーン、ガラーン。

俺は未だにあの音色を待っている。

チャペルでの結婚式に憧れていたみずほが入れた着信音を。


もう二度と掛かって来るはずがないのに。




 スキンヘッドの彼のもガラケーだった。

防水機能の付いたタイプで開けるのに苦労した。

電池パック上のカバーを外そうとしたら、動かないんだ。


「ロックしてあるから」
彼はそう言いながら、隅っこにあるロックのバーを移動させた。




 電池パックを取り出し、マイクロSDのカードを引き抜いた。

それを専用カバーに入れパソコンの側面に挿入した。


セットアップしている内も、何だか上の空の彼。


(――本当に彼女の浮気調査だけか?)

俺は未だに彼のスキンヘッドを見ていた。


やがて……
隠し撮りしたと思われる画像がディスプレイに写し出された。




 (――うわー、可愛い!!)

俺は写し出された女性に思わず見入っていた。


アイドル並みのルックスに少し茶髪なロン毛。
まさに俺好みだった。
みずほと言うより、有美に似ている。
みずほの殺された事件のきっかけになった、有美の父親殺しの真犯人だと思う人物だった。


俺は有美が、父親の心臓に麻痺を起こさせて殺したのだと思っていたのだ。




 俺が何故有美を父親殺しの犯人だと思ったのかは、話せば長くなる。


イワキ探偵事務所に依頼した写真で、心臓に麻痺を起こさせて殺したのだと思っていたからだ。


彼女は浮気調査を叔父さんに依頼した。

その時撮った写真が犯罪に使用されたらしいのだ。

それは彼女の継母と、元カレの密会の証拠だった。


それを見た彼女の父親が心臓発作を起こし死亡していたのだ。


でも今はそんなこと考えてる場合ではない。

俺は頭を振りながら、又スキンヘッドの男性に目を移した。