「竜希ってさ、俺のこと嫌いなの?」


あの時とは全く真逆の質問だった。


あたしは答えなかった。


「俺の方が身長低いこと、まだ気にしてるの?」

「姫川が悪いんじゃない」

「俺と歩くことが恥ずかしい?」

「それはあたしが……」

「そうやって気にしてること自体が俺を責めてるってこと、わかんない?」


姫川の表情が暗い。


「そりゃあね、竜希に攻められることはすげー好きだよ。でもさ、俺も傷つくよ。身長なんて、見た目じゃん。見かけで判断されたくないし」

「ごめん、今の、聞き捨てならない。せめるの字が違う」

「見かけを気にしてるってことは内面を見てないってことだよ。そんな程度だったのか、竜希の思いは」


残念だよとでも言いたけに、姫川は机の上のノートに視線を移して、再びノートにシャーペンを走らせる。


何よ、自分はいかにも正論言ってますみたいな口調。


姫のくせに生意気だ。


いくら竜でもあたしは女だ。好きなんだから、姫川の内面を見ていないわけがない。でも、身長を気にしてしまうのはしょうがないじゃない。


あたしが悪い。でも、悪いとこいつには認めたくない。