「名前、教えて欲しい」

「…名前って私の?」


今度ははっきりと何を言っているのか聞こえたのだけど、私の名前を聞いているのか不安で聞き返す。


此処で名乗って私の名前のことを言っていたんじゃなかったら恥ずかしすぎる。



だけど私の勘違いということはなかったようで、コクンと頷いた猫山君。



何だか放っておけない、思わず母性本能を擽るのは、まさしく猫山君みたいなタイプだろう。


こんな弟が欲しかったと思いながら、この機会にと猫山君の頭を撫でていた手を引っ込める。


―――のだが、


「手、駄目。はなさないで」


引っ込めようとした手は難無く捕まれ、再び猫山君の頭に戻される。


どうやら頭を撫でられるのは好きらしい。



特に嫌がる理由もないので、手は頭を撫でながら、そのまま自己紹介を始めた。