「…ね、猫山くん?」

「触らないの?」


何を思ったのか漸く名前を呼んだものの、会話が成り立たないのは、猫山君の持つ独特の波長のせいか、私はただあたふたするしかない。


「あ、あの、えーと、」


だけど真っ直ぐに私を見てくれる猫山君は会話こそ成り立てようとはしないものの、きちんと話を聞いてくれる気はあるらしい。


しかし何を思ったのか、いきなり私の手を掴んだかと思えば、私の手を自分の頭においた。


それはどことなく、猫がお腹を撫でてもらうおうと咽を鳴らしながらせかしている光景と似ていて。


私の手は自然と動いた。


「…柔らかい」


猫山君の髪はサラサラと言うよりは、猫の毛みたいなふわふわとした髪質で、猫山君は髪質すら猫に似ていて触り心地が良い。