「未花‼」
俺は、坂を下りながらも、そう叫んだ。
叫ばずにはいられない。
なんで…なんでなんだ…?
未花とはまだ会ったばかりなのに、どうしてこうも必死になるんだ?
俺があの坂から滑らなかったら、会わなかった。
この事を、運命とでもいうのか?
わからない…わからないけど、ほっとけない。
「未花‼」
神桜が見えてきて、俺はある異変に気づいた。
神桜が淡く光っているからだ。
淡い黄色に。
どうして、光っているかは分からないが何か嫌な予感がし、俺は走るスピードをあげた。
「未花‼」
桜の木の下についた時、もう一度彼女の名を呼んだ。
「うぅ…ら」
未花‼この声は未花だ‼
「未花‼どこだ‼」
「…っそら」
声は、木の後ろからして急いで後ろに回ると
「未花⁈しっかりしろ‼」
未花は、木の後ろに倒れていた。
しかも、淡い黄色の光をまとっていた。
表情は青白く、目は閉じていて、とても苦しそうだ。
「うっ…そ…ら?」
目が少しだけあき、俺をみた。
「あぁ、俺だよ」
「…痛…いよ…か…体中が痛いよ…」
話すのも、必死のよつだった。
「未花‼しっかりしろ‼俺が、俺がついててやるから」
未花は俺の顔みながら、コクリと頷いてまた目を閉じてしまった。
くそっ!何がどうなってんだよ。
どうやったら、これを止められるんだ。
苦しそうな未花を俺はただみている事しかできないのか?
誰か…誰か助けてくれよ‼
俺は未花を抱き寄せ、そう心の中で叫んだ。