「沖田さん、ちょっといい?」


背後に不気味な気配がして振り向くと、百合野愛美は笑いながら立っていた。


怖い。


その笑顔が不気味すぎる…。


「何か用?」

「うん。ちょっと沖田さんに、話があるだけだから。って事で、沖田さん借りるわよ」


そう言って百合野愛美は、あたしの腕を引っ張った。


「百合野さん、すぐ終わるよね?」

「さぁ?」


さぁって…。


何かあたし、嫌な予感がしてくるんだけど…。




百合野愛美が連れてきたのは、普段誰も寄ってこない旧校舎にある図書室。


新校舎にある図書室に比べて、暗くて不気味。


「入って」

「あ、うん…」


百合野愛美はあたしが図書室に入ったのを確認すると、扉を閉めて鍵をかけた。