「ちょっと凪裟!」
振り払っても、俺にしつこく付いてくる愛美。
「いい加減にしてくんね?目障り」
俺がそう言うと、愛美は今にも泣き出しそうな顔をして走り去ってしまった。
「今のは言い過ぎだろ。愛美は本気で、凪裟の事好きなのにさ」
「愁、いつからいた?」
「さーね」
愁は近くにあった壁に凭れながら、俺の目を見た。
「空チャンのこと本気なのか?」
「…関係ねぇだろ」
「何で彼女にしたの?今までのタイプとは、全然違うみたいだけどさ」
何で空を女にしたのかは俺にも分からない。
俺の歴代の女たちは、みんな愛美のような奴だった。
だからこそ、空にしたのかもしれない。
勿論、空が俺の事を嫌ってるのも知ってる。
でも、空を女にしたかった。
