お姉ちゃんが好きになった人に限って、そんなことあるはずない。
だって、あのお姉ちゃんだよ。
女遊びをしていた人なんかを、好きになるなんて…。
でも凪裟くんは有り得ないくらいかっこいいし、絶対女の子にモテモテのはず。
お姉ちゃんは特別美人ってわけでもないし、どっちかと言うとフツーだし。
お姉ちゃんより綺麗な人が寄ってきたら、心移りする可能性だって大きい。
「凪裟くんってさ」
「ん?」
「お姉ちゃんを…傷つけないよね?」
気付いたらあたしは凪裟くんに聞いていた。
凪裟くんは暫く考えてから、ふふっと笑った。
「俺がアイツを傷付けたら夏はどーする?」
