なぜだかわからないが
俺は心から楽しんでる弥生を見て
俺も楽しくなっていた
「わっしょい!」
【ドン!】
御輿担ぎが終わった
弥生は声が枯れるまで叫んだみたいだ
「男!」
弥生がカスカスの声で俺を呼ぶ
「男って呼ぶなよ」
「名前わかんないもん」
「栄助だよ」
「ふーん」
興味ゼロか!
相変わらずふざけたやつだったけど
祭りを楽しんでるのはすごく伝わった
「栄ちゃん」
「は、はあ??」
いきなり馴れ馴れしくちゃん付か
少しキュンとしたのは内緒だ
「なに?」
「これあげるよ」
弥生に渡されたもの
それは
水風船だ
「な、なんで?」
水風船渡されても
もう遊ぶ歳じゃねーぞ??
「今日楽しかったからあげるよそれ
今日縁日で3個も取れたから」
楽しかったのか
そうか、よかったわ
「んじゃあもらっとく」
「うん。じゃ!」
颯爽と帰った弥生
お母さんを置いていってるのも気づいてない
変わった子なんだな
そう思った
そして水風船を見てみると
ゴムの部分に結構多めに
噛んだような跡があった



