たまごのような恋 殻を割ったそのとき

「ふふっ、いつも家に来て料理をご馳走になったりしているのに、逆になると、抵抗するのか」
「だって、お兄ちゃんもいるから」

 支樹はそれに頷いた。

「そうだな。琴音にとって安心だよな」
「でも、支樹とこうして一緒にいることだって決して嫌じゃないからね」
「キスも平気?」
「うん・・・・・・」
「じゃあして」

 はい?なんていいました?

「もう一回言って」
「琴音、キスして」
「パ、パス!」
「トランプじゃないのだから。ほら、早く!」

 支樹は目を閉じてしまった。私はゆっくりと近づいてそっと触れた。ドキドキしてすぐにやめた。

「短い・・・・・・」

 そんな不満げに言われても困る・・・・・・。

「今はこれが精一杯!」

 ただでさえ、心臓がうるさいのに!

「ま、いいか。今日のところは」

 恋って、たまごと似ている。最初は殻で覆われていたものが少しずつ割れてひびが入っていく事によって、新しい姿が見られる。
 恋について理解しきったわけではないけれど、少しずつわかっていきたい。
 そう強く願うようになった。