たまごのような恋 殻を割ったそのとき

 そんなことをほんの少しも思っていないくせに!

「お兄ちゃんに言うから。支樹に無理やりキスされたって」
「ご自由にどうぞ。痛くも痒くもない」
「その余裕が腹立つ」
「なんか甘いものでも食べる?落ち着くよ」
「何もいらない」
「そっか。さっき俺としたから、もうおなかがいっぱいって訳か」

 一気に顔が紅潮していく。支樹は腹を抱えながら笑っていた。

「これから恋人として好きなことをするように琴音もたくさんしていいからな」

 俺は何をしてもらおうと考え始め、私はひたすら狼狽するだけだった。

「誠一に邪魔をされないように、これからは琴音が俺の家に遊びに来たらいい」
「い、家に?」
「そう。必要なら、合鍵を作って渡すから」
「あの、いきなりすぎて・・・・・・」
「まだそこまで追いつけない?」
「うん」

 恋人になったからといって、支樹の思うように動くことは私にとって、とてもじゃないけど簡単なことではなかった。

「だったら仕方がない」

 私の都合に合わせてもらって、申し訳ない気持ちになった。

「そんな顔をしなくていいから」
「だって・・・・・・」
「気長に待つから」