「どれくらい待っていたの?」
「長い間」
「他にも質問していい?」
「どうぞ」
「私のどこを好きになったの?」
「教えない」
「なんで?」
「本当に長い間待たされたから。何年も」

 驚いた。支樹がそんな前から私のことを想ってくれていたなんて。
 支樹の手の上に自分の手を重ねると、驚いていたが、すぐに嬉しそうに微笑み、肩に頭を乗せてきた。

「あ、まだお前の不安を一つとっていなかったな。いつも一緒にいる友達のこと」

 動揺して、手を少し震わせると、大丈夫と指先で撫でて、ゆっくりと話し始めた。

「初美ちゃん、話をしよう」
「琴音の何を知りたいのですか?」
「学校でどんなことをしている?」
「えっと、そうですね。一緒に小説を読んだり、お菓子を分け合ったり、あと支樹さんの話をよくします」
「俺の?どんな?」
「えっと、いたずらされたって、愚痴を言っていますね。あとはここへ出掛けたとか」
「あいつ、誠一にも同じことを話しているな」

 頭が痛くなってきた。

「俺に対する気持ちとかは?」
「仕返しに成功したときはたまにあるからそれが嬉しくてたまらないと」

 俺は琴音のことを知ることに夢中になった。考えるのもいいが、何かを実行することも悪くない。