こんなときはどうすればいいの。

「こういうことはお互いが好きでないとしちゃ駄目なの」
「俺は琴音が好きだよ」

 ドクンと心臓が大きく跳ねた。

「琴音は俺のこと、好き?」
「き、嫌い・・・・・・」

 目を閉じて必死で声を絞り出した。

「どうして?」
「嫌いなのは・・・・・・」

 続けて言いたかったが、支樹に邪魔をされた。

「そうじゃない。どうして嘘をつくの?」
「支樹だって・・・・・・。どうせいつものからかいでしょ?」
「違う」

 すぐには信用できなかった。私のことをからかいがいのある女の子だからなのかとかと思い悩んでしまう。頭を抱えて唸っていると、頭上から溜息がきこえた。

「なんでそんなに鈍いのかな」

声を出そうとしたが、先を越された。

「もし、本当に嫌いならいつも俺の分までご飯を作らないよね。一緒に出かけようって言っても断るだろう」
「そ、それは・・・・・・」

 今も抵抗をやめようとしない私を見て、往生際が悪いと言いたげに手に力を込めた。

「琴音」

 名前を呼ばれて目を開くと、支樹が先程より近くなった。キスしているとわかって、目を閉じようとするが、支樹がそれを許さないとばかりにみつめてきた。逃れられない。そう思っていると、ゆっくりと離れていった。

「くくっ、顔真っ赤」

 首を振って否定したが、それも面白そうに目を細めた。

「これからもしような」
「!」

 言い返したいのにできない。このとき私はただ全身の力が抜けてしまった。