真剣な顔で言うので、これ以上支樹みたいな人が増えたら嫌だと言うと、謝りながら笑っていた。

「ちょっと、からかってやれば?」
「からかう?」
「そう。普段お前がいわないことをわざと言ってみるとか」

 どうだ?と言いたげに、私に目線を合わせた。

「お前は支樹に気に入られているな・・・・・・」

 兄は窓の外を眺めていた。笑顔は消えていた。

「今日、支樹は?」
「まったく、俺がいるのに・・・・・・」

 兄がいるのもかかわらず、支樹のことがきになってしまう。

「あ、えっと・・・・・・」
「もう少ししたら来るぜ。まだまだ夏休みがあるからな」

 チャイムが鳴った。他の誰でもない。支樹だと思い、急いで玄関のドアを開けた。ドアを開けた瞬間、彼は驚いていた。

「・・・・・・何?そんなに俺に会いたかった?」
「うん。会いたかった」

 また驚いて、何度か瞬きをした。家の中へ入ろうとしたので、通れるように後ろへ下がると、兄が彼を呼んだ。

「こら、何しようとしていた?」