「満足したか?」
「うん」

 彼に連れて行ってもらえて楽しかった。

「今度はさ、お前がどこへ行くか決めろよ」
「どこでもいいの?」
「あぁ、まかせる」

 彼は自分から離れて、家へ向かった。帰るときは支樹が顔を見て、疲れたことを察したのだろう。
 そういえば、電車に乗っているときに思い出したのだが、お兄ちゃんは昔からつきあっている子がいて、今もその関係は続いている。それぞれ違う学校だけど、会おうと思えば会えるので、時間があるときはデートをしているらしい。良い関係が長く続くなんて羨ましい。そっと支樹を見てみる。違う、恋愛としての好きじゃない・・・・・・。
 そう言い聞かせても、彼のことを考えることが多くなった。