たまごのような恋 殻を割ったそのとき

「雨、降るのかな?」
「天気予報では晴れだってさ」
「大丈夫かな」

 周りにいる人々を見ると、傘を持っている人はいない。

「折り畳み傘なら持っているぜ」

 鞄のチャックを開けると、紺色の折り畳み傘が入っていた。

「用意がいいね」
「だろ?」

 満足げに笑ったあと、チャックを閉めた。

「最近、よくでかけるね」
「嫌か?」
「まさか、そんなわけないじゃない」

 嫌というよりむしろ嬉しい。ただ、昔はそんなに一緒にでかけていなかったので、疑問に思っていた。

「そりゃそうだよな。琴音は俺に夢中だしな」

 どこまで自分に自信があるのだろう。

「昔さ、いろいろな女の子とデートしていたでしょ?」
「いや、真面目に勉強していた」
「そんな嘘に騙されないよ」
「本当だって。それにな・・・・・・」

 何を言い出すのだろうと彼を見ると、じっとこっちを見ていた。いつものからかうときの表情とは違って、真剣な眼差し。

「琴音がいるから退屈なんてしない。他の女なんて興味がない」