この公園は広くて春になると、桜が満開になる。また来年も来よう。そう思いながらうなずいていると、支樹が不思議そうにしているので、教えると、弁当よろしくと言われた。
 あの・・・・・・ついてくるの?

「あのさ・・・・・・好きなやつとかいないの?」

 また唐突な質問をしてきた。

「いないよ、支樹はいるの?」
「いるよ。琴音」

 さっきの熱が再びよみがえった。冷静にならなくては。

「もうからかいは通用しないから」

 ちょっと素っ気なく言ってやった。彼は不満そうな顔でこういった。

「信用してくれないのか?」
「そりゃあね。普段からからかうから」

 この人の趣味は人をからかうことだと、自分の頭の中にメモをするくらいだから。

「信用できない」

 そういって、ゴミ箱にすでに飲みきったココアの缶を捨てた。

「お前、まだつくるなよ」
「恋人を?」
「そう」
「学校に好きな人がいないから大丈夫だよ」

 もともと男の子と話したりしないしね。

「支樹って、保護者みたい」

 笑っていると、彼は黙ってスタスタと歩いていく。私も鞄を持って追いかける。

「待って」