「この店、初めてだけど、うまいな」
「うん、おいしい」

 食べながら彼に視線を向けると、嬉しそうに食べている。話が終わると、ゆっくりと食べはじめる。今度来たときは支樹が食べているのを注文してみようかな。私たちは会話をせず、ただ黙々と食べた。支樹は私より先に食べ終えた。急いで食べると、それに気づいた支樹が焦らなくていいことを言ってくれた。
 けど、そんなわけにいかないだろう。スピードを変えず、食べ続ける私を見て、支樹は苦笑いしていた。かなり量が減ったけれど、お腹が苦しくなった。あと少し、あと少しといわんばかりに食べるのをやめなかった。支樹が戻ってきた頃、ようやく食べ終えた。

「そろそろ出ようか」
「うん」

 支樹は伝票を持って、レジへ向かった。私は店の外へ出て、待っていると、彼はすぐに出てきた。

「ご馳走様。あの、お金・・・・・・」
「いいから」
「でも・・・・・・」