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今日の天気は雨。
傘なしでは出掛けることは
できない。


雨なんて大嫌い。
髪の毛はグズグズになるし。
雨のにおいは良いにおいではないし。
なんか気分も暗くなるし。
雨の日なんて何に対しても不都合。


学校ある日に雨なんかが
降ったらその日はホント最悪。


登下校するのが面倒くさくて
雨の日はママに車で送り迎えを
してもらって楽をしていた。


そんな面倒くさがりやの私でも
実は陸上部のマネージャーなんかも
やってたりする。


走るのは得意だ。
前までは。


今は走るのが不得意。


中学生の頃、最後に出た大会。
その日はあいにくの雨だった。
それなのにもかかわらず、
大会は開催された。


短距離をやっていた私は
誰よりも足が速く、
県でも1位、2位を争うくらいの
実力を持っていた。


だけど、その日以来、
私の自慢の実力は無となった。


私の出番が回ってきた。
雨の日なんて私には関係なくて
ただ1位になること、優勝することだけ
頭に入っていた。


競技が始まる。
私は見事に幸先の良いスタートダッシュをきって走った。
だけど、ゴール目前。
雨のせいで滑りやすくなってたせいか
私は大きく転んでしまった。


その時、足を思いっきり
捻ってしまった。
その結果足の骨は見事に折れ、
治ったとしても走ることのできない
足になってしまった。


その日から私は雨の日が
大嫌いなった。


まぁ。前から好きだったわけでもないけど。


そんなこんなで
今の私がいた。


「さて。今日もママに送ってもらうか」


雨の日のお決まりのセリフ。
自分の部屋からリビングに向かう。


けど、その日は運の悪いことに
ママが出張に行ってしまっていた。


「うわぁ…最悪…つか、運悪…
雨の日なのに歩いて学校行くの…」


一瞬で憂鬱になった。


友達のマミに電話する。


「もしもしマミ?おはよ〜」
「あ!ミユ?おはよぉ!どしたの?」


マミは相変わらずの明るい声で
電話にでてくれた。


「今日学校行きたくな〜い。」
「えー?なんで?」
「雨だし…ママいないから送ってもらえないの…」
「なにそれー!ミユそれはダメ〜!
ちゃんときてくださーい!」
「マミのいじわるー。」
「うち優しいしぃー(笑)じゃっ!いつもの場所で待ってるからねぇ〜」


そう言ってマミは電話をきった。
マミに言われて仕方なく家をでる。


「鞄おも…つーか荷物多い…」


うだうだ文句を言いながら
マミとの待ち合わせ場所に向かった。


待ち合わせ場所にはマミが
新しい傘を持って待っていた。


「お!ミユ!ちゃんと来たー!偉い!」
「でしょー!?もっと褒めて!(笑)」
「やだー!(笑)そんなことより!見てみて!新しい傘!可愛いでしょ〜?」
「うん!可愛いね!」
「ありがとう!ミユはなんで真っ黒の傘なの?」
「雨嫌いだから。見るのもやだ。」


私はふてくされながら
真っ黒の傘を使ってる理由を
話した。


「ミユ雨嫌いだもんね…しょーがないねあんな事があっちゃね…」
「もういいから!行こ?遅れるよ?」


できるならあの時の話は
したくない。
思い出して辛いのは私だから。


歩き始めた私たちは
いつものように笑いながら
会話をする。


雨は嫌いだけど
マミと話せるならいいかな。


話しながら学校の門をくぐった時、


びしゃっっ!!


私たちの隣を通った自転車に
泥をはねられた。


「うわっ!」


声を発する。


自転車に乗ってたのは
陸上部男子の長谷優希だった。


「ちょっ!ゆうき!」
「わ!ミユ、すまん!」
「すまんって…まぁいいや…靴下の変えあるし…」
「悪りぃ悪りぃ!メロンパンおごるから!」
「はいはいわかったよー。」


これだから雨の日は嫌なんだよ。
だんだんと機嫌が悪くなる。


教室に入り靴下を履き替える。
そう。ブツブツ文句を言いながら。


周りからみれば短気で
頭のおかしいやつ。
でも実際はそんなことない。


誰にでも泥をはねられたら
このくらいの気持ちにはなるはずだから。


ぶつぶつ文句を言いながら
私は靴下を履き終えた。


朝のホームルームが
始まると早速私は
ボーッとし始めた。


朝に弱い私はホームルームの
時間はまだ頭が起きてない。


でもボーッとするのには
もう一つ理由がある。


授業に集中するためだ。


今日の1限目は英語。
苦手な科目がいきなりきた。


うちの学校の英語は
始まりから終わりまで
日本語は使わない。
ずーっと英語で話す。


ちょっとつらい授業だ。


でも集中して話を聞く。
なぜか今日は内容が
頭にスーッとはいってきた。