住んでいた頃、この扉だけは開けてはいけないと、きつく言われていた。 「闇ノ子様、失礼します。」 黒羽先生が扉を押し開いていく。 「……お帰りなさい、月華さん。」 ただ広いホール。 壁には美しいな絵が描かれ、天井には高価そうなシャンデリア。 しかし、そこに灯りはなく、いくつか壁に架かる燭台の灯が薄暗く照らす。 そこに響いた、馴染んだ柔らかくて、少し寂しさを伴った、”あの人”の声。