―――― ―――――― 周りに警戒しつつ、太陽の光を背に受けて飛ぶ。 街を超えると、眼下に映るのは広大な森。 東の館「大和」は、この森の中央に位置する。 「月華、あれ!」 後方から、桃香の声が聞こえ、辺りを見回すと、 木々に隠れた館がチラリと見えた。 「東の館『大和』……――。」 つい最近まで暮らしていた家。 しかし、そこでの生活はもう遠い昔のように感じる。