私の心の中に、そこまで深くは染み渡ってなかった那智の存在。


なのにいつの間にか、

その笑顔と

その髪と

その華奢な背中と


一秒でも長くいたいと思うようになってた。



「沙月最近、どう?」

「え?」

「こないだ言ってたじゃん、肘悪いって」


ああそういえば…なんて返しながら、ふと肘に触れてきた那智に思わず目をぎゅっとつぶる。


「日頃の行い悪いしなぁ…バチが当たったのかも(笑)」


それを誤魔化すように、笑いながら言ってみると、那智は私の肩を掴んだ。