「ぁ…知ってらっしゃったんですね……」
「えぇ、
十夢が電話を掛けた相手に、なっちゃんってのが居ませんでしたか?」
那月さんは知花さまの知り合い?
そう言えば最初に掛けた相手を、知花さまはなっちゃんと呼んでいたかもしれない。
少し頷くと、那月さんが微笑んだ。
「その、なっちゃんは私なんですよ」
「…そうだったんですか………」
知花さまはこの側に何年も住んでいたんだし、歳の近い(たぶん)者同士交流があってもおかしくない。
でも…なんだか寂しいと思ってしまうのは、桜ちゃんや知花さまのがずっと先に那月さんに会っていたと知って、仲間はずれの気分になったからなのかな…
「十夢や桜介から、私の話を聞いたことはありませんか?」
「あったかも知れないですけど…」
桜ちゃん以外の人に興味の無かったあたしは、たぶん聞き流していたんだろう。
「…あの……あたしが誰か分かっていたんですか?」
「えぇ、桜介そっくりですしね?
歌の上手な従妹が居ると、よく自慢してましたから」
上手くなんてないけど…
そんな風に話してくれてたのかと思うと、嬉しくて涙が出そう。
「十夢は…どうしてますか?」
