花色の月


「…翔、そっちはどうだ?」


『あれ?寂しくなった~?
こっちは、ちょいちょい十夢を注文されるけどさ、取り合えず品切れですって言っといてる~』


「…そうか。
なぁ…桜介から、連絡ねぇか?」



『ん?昨日るぅちゃんに電話来てたみたいだけど?』



瑠璃に!?
散々あちこちに電話を掛けて、もう手掛かりは掴めないのかと諦めながら翔に掛けた電話で、微かな光を見た。



「翔っ!?瑠璃に代わってくれ!」


『え?いいけど…?』


事情が分からない翔は、俺の食い付くような言葉に、若干引きながら瑠璃を呼んでくれた。

俺の隣では、祈るように手を握る花乃ちゃんが、俺の言葉に耳を澄ましている。



『十夢さーん!お久しぶりだねぇ?』


「瑠璃、桜介から電話があったって本当か?」


『う、うん……何かあったの?』


俺の勢いに押されたように返事をする瑠璃に、被せるように質問した。


「桜介はなんて言ってたんだ?
なんの用で掛けてきたんだ?」


『えっと…元気?って……
なんか特に用事があった訳じゃないみたいだったけどぉ…』


光が遠退いていく、手がかりにはならねぇか…


「…そうか……」



『ぁ、あとね?
花を見に行くって、十夢さんも一緒じゃないのぉ?』