花色の月


「…いや、全力で返品されるだろ。
てか、勝手にくれてやるなよ」


「ふふ、花乃なら嫉妬で刺したり出来ないなって」


おいおい、花乃ちゃん以外なら刺すのかよ…

ちょっと前に似たような事を思った自分を棚に上げて、桜介の言葉に苦笑を漏らした。



「十夢……」


ねだるように抱き付いてくる桜介の口を、荒々しく塞いでから背中をなぞる。

たったそれだけなのに、声を漏らすこいつが可愛くてたまらない。



桜介……残念だが花乃ちゃんだけはねぇよ。

夜な夜なお前を思いながら抱くなんて、あの子の心を簡単に壊しちまう。

まぁ…抱かれてくれねぇだろうけどなぁ……



「誰を…んっ……思って…んの?」



「お前以外ねぇだろうが」



「…上の空は……やぁ…」



甘い吐息に、俺の下腹部にも熱が灯った。