花色の月


その夜、欠け始めた月を見上げて、声もなく泣いている知花さまを見かけた。


どうして、上手くいかないんだろう…


あたしまで涙が出てきちゃう。

お湯に浸かりながら、湯気に隠れて泣くあたしの側に桜ちゃんは居ない。

桜ちゃん…あたしと一緒になんて居なくて良いから笑っていてよ。


夢を語りながらキラキラ輝いていた瞳に、時折差す諦めの色は見ているだけで苦しいよ…





「……のぼせたかも…」


着替えて部屋に帰ると、少しくらくらする頭を冷やそうと窓を開けた。

…まさか、もう知花さまはいないよね?



「窓から月見かぁ?」


いるしっ!?
それも、なんでかあたしの部屋の真下に。



「…何してるんですか?」



「散歩かな?」



…いや、知りませんって。

それにあたしは今それどころじゃ無いんです。

のぼせた頭にペットボトルのお茶を当てていると、下からクスリと笑う声が聞こえた。



「のぼせたのかぁ?」


「…違います」



違わないけど。
何となくハイって言うのが悔しくて、変な所で嘘をついてしまった。