花色の月


「…酔わないの?」


「酔いたいんだけどなぁ…
無駄に強いって損だぞぉ?金は掛かるし…意識は飛ばねぇし」


「…そう」


「聞いた癖に興味無さそうだなぁ?」



「だって無いもの」



グレーの瞳をわざとらしくパチクリして、次の瞬間クククッと笑いだした。



「いいねぇ、俺はそっちの花乃ちゃんのが好きだわ」



「…あなたに好かれても…ねぇ……」



「なぁ、なんでいつもそんな感じで話さないんだぁ?」



「…無神経な人ね」



言ってあげない。
あなたはそんな事では、ちっとも堪えないって分かっているけど…なんとなく悔しいじゃない?


あたしは元からキャピキャピした明るい要素は、生憎と持ち合わせていなかった。

本当はみんなと仲良くくだらない話で笑いたかった……でも、それが上手く出来なくて………目障りって言われて…


話すのが下手だっただけなのに、ますます話すことが難しくなっていった。




「…居場所ってなんなのかな……」



「分んねぇなぁ…
この地球上のどこかに有ることを、願うだけだ」



あたしも、知花さまも、桜ちゃんがお嫁さんを貰ったらここには居られない。

居てもいいって言われても、苦しくて目を背ける事くらいしか…出来ないから…



なんとなく同類意識なのかもしれない。
それに知花さまは、あたしの言った事や話し方なんかで、態度を変えたりしないってどこかで信じている部分もある事は内緒。