「う~ん……年令は関係無いかなぁ」


「ほんとに?じゃあ……」


「でも、なんも無いと思う。
お互い臆病やし、やっぱり傷は癒えてへん」



そっか……
そこは、それ以上あたしが無闇に触れていい所じゃない。

だから、ひとまず大福をはむっとかじった。



「うちの中の悠の存在のが大きいんよね」


「ごめんね……無神経に聞いたりして……」


「花乃はなんも悪ないよ。……悠に会いたいなぁ」



涙が、ポロリと涙がこぼれ落ちた。

その涙を拭う人は、もういない。


ここまで、本音をさらけ出してくれる事が、心を許してくれてる証拠だとしても、やっぱりこんなの悲しすぎる。


本人の心の傷の深さを、他人が理解する事は出来ないけれど、同じ傷を抱える者なら寄り添えないんだろうか……


それも、所詮外から視点って言う勝手な思いなんだろうか。



ポツンと雨が降ってきた、晴れていた空が降らすお天気雨は、空にいる悠さんの涙なのかな。

しばらくしとしと降った雨は不意に上がって、澄んだ空に鮮やかな色を映し出した。




「……虹」


「……綺麗やね」



明美ちゃんの為に、悠さんが虹を掛けてくれた気がした。