花色の月


「…おい、三十路越えてる人の前でよく言うなぁ?」


「33、でしたっけ?」


「まだなってねーよ」




あぁ、そう言えば誕生日は……いつでしたっけ?

必要のない事は忘れてしまうんですよね。

って事は、今の十夢くらいの年齢って事ですね。



「ですけど、桜介も29じゃないですか。……そろそろ三十路の男には見えませんけど」


「まぁなぁ。そういや、なっちゃんと花乃ちゃんっていくつ離れてんだぁ?」


「……7つです」


「男女の差としちゃあ、丁度いい位だろ。なにもそんな焦る必要はねぇんじゃねぇかぁ?」



みんなそう言うんです。
もちろん、それが正論だと分かってはいるんです。

それでも、動かぬ事実を作ってしまいたいと思う事は、間違っているんでしょうね…



「いっそ、子どもでも……」


「おいおい、なっちゃんらしくねぇぞ?
月守の跡取りと結婚すんだ、しきたりとか何とか色々あるんだろう?」



……分かってますよ。

もちろん、花乃の合意も無しにそんな事は致しません。

それでも、日に日に花が咲くように美しくなる花乃を見て、不安になってしまうのも事実なんです。



「格好いい32歳になりゃあ良いだろうが。
それに、花乃ちゃんはなっちゃんが大好きなんだし、どんと構えてそれくらい待ってやったらどうだぁ?」



桜介を思って何年も独り身でいた貴方に言われると痛いですね。

まぁ、つまみ食いはかなりしていたみたいですけど。