花色の月


さて、遡る事数十分。



花乃と桜介が何やら話をしているのを、やきもきしながら見ていた時の事です。

もちろん、それを顔には出さないよう努力はしていましたけど。



「なっちゃんって嫉妬深いのなぁ?」


……隠せていなかったようです。

私の隣でやたら淫らに色気を振り撒くのは、どこかで西洋の血の混ざる再従兄です。



「淫らはねぇだろう、淫らは」


「おや?声に出してましたか?
じゃあ、みだりに変更して差し上げます」


「まったく…………。俺さぁ、近々桜介を知花にしようと思ってんだ」



このタイミングの悪い男を、どうしてくれましょうか。

思わず、私より少し高い頭をひっぱたいてしまいました。



「イデッ!なんで叩くんだぁ?そんなに桜介の事が…」



もう一発殴ってやったら、しばらく頭を抱えて悶絶しています。

そりゃあそうですよね。けっこう本気で殴りましたから。



「何があったんだぁ?」


「……月守の女将さんに、花乃を下さいって言いに行ったんです」


「いや、結婚は早くねぇかぁ?花乃ちゃんまだ二十歳そこそこだろぉ?」



えぇ、女将さんにもそう言われましたとも。

いずれ婿に来てもらうつもりだけど、まだ早くはないかしら?って、言われてしまいました。



「21歳です。………ですけど、花乃が25歳とかになったら、私は31、2ですよ?三十路越えのおじさんなんて嫌だって言われたら、どうしたらいいんですか?」