花色の月


四人で少し人混みを抜けて、花火を見る絶景スポットとやらに向かって歩いて行く途中。


急に真剣な顔をした知花さまが、あたしに向かって口を開いた。



「なぁ、花乃ちゃん。桜介を俺が貰っちまって良いかぁ?」


「もう連れてっちゃってるじゃない?」



何を今更。

そう思って見上げると、そうじゃねぇんだと苦笑い。

あれ?あたし変な事言った?



「桜介を、俺の籍に入れちまったら、月守の姓を継ぐ人が花乃ちゃんしか居なくなっちまう。逃げたくても逃げらんなくなっちまうけど、それでも良いかぁ?」


「え……?」



あぁ、そう言う事。

驚いた声を漏らしたのはあたしじゃなくて桜ちゃんで、知花さまの言いたい事が分かったあたしは笑って頷いた。

だって、それが桜ちゃんの幸せだと思うから。

あたしは元より腹はくくってますからね?



「よし、明日市役所行くかぁ」


「ちょ、ちょっと待ってよっ!僕の返事は!?」


「ん?NOなんて言うつもりかぁ?」


「ち、違うけど!僕の事なのに僕が置いてけぼりっておかしいでしょ!」


「ふぅん。じゃあ無かった事にしちまうか?」



……知花さまが一番、桜ちゃんをいじめてる気がしますけど?

真っ赤になって抗議する桜ちゃんは、瞳をキラキラさせて今にも泣き出しそうだ。