花色の月


隣に立つ桜ちゃんを見ると、ちょっと切なそうに二人を見ていた。

思っていた事は一緒だけれど、それに伴う想いは違ったみたい。

あたしは、純粋に目の保養だなって思ってたんだけど……



「僕はさ、十夢が那月を構うのがずっと嫌だった」


「桜ちゃん……」


「僕から十夢を奪えるとしたら那月だけだと思うよ。だから、つい……ね?」


「知花さまにでも、那月さんはあげないもん」


「フフッ、大丈夫。那月はノーマルだから」



そう笑ってあたしの頬を撫でて切なげに言った。



「僕はさ十夢だけなんだよ。他の人に恋をした事も、他の人とした事すらないんだ。でもあいつはねぇ……」


「大丈夫。何があったか分かんないけど、知花さまは桜ちゃんが居ないと脱け殻みたいになっちゃうんだから」



でもね、こんな風に桜ちゃんが弱さを見せてくれる事があたしは嬉しいんだよ。

だって、それだけ同じ場所に立ててるって事でしょ?


いつだって真っ直ぐ前を向いて、笑顔を絶やさなかった桜ちゃんは、こんなにも知花さまの言動一つで揺れるだって、知れただけで嬉しい。



「情けないね……ごめん」


「謝らないで。いつでも聞いてもらうばっかりだったんだもん、たまには反対も良いでしょ?」


「ありがと、花乃はほんと頼もしくなったね」