花色の月


「こぉら、どこが胡散臭せぇって?」


「あらゆる所が、だろうね。
ねぇねぇ聞いてよ!こいつさっき大判焼き買いながらナンパしてたんだよ!」



あれ?話が反れたのかな?

あたしのほっぺを掴んでいた知花さまは、慌てて桜ちゃんを宥めている。

あたしは、汚れを払うみたいにほっぺを撫でている那月さんに、後ろから抱き締められたまま。



「桜ちゃん可愛いね?」


「女の子みたいですけどね」



「ちょっと那月!聞こえてんだからな!」


プクッと頬を膨らませる姿は、可愛らしさをプラスしている事に気が付いていないらしい。




苦笑いをする知花さまの着る紫の浴衣には、水流と……桜かな?花びらが染められている。

やっぱり、なんかやらしい。

とっても似合う上、色気を振り撒いている癖に、どこか取っつきやすそうだからか、さっきから逆ナンが止まらない。



那月さんの場合は、近寄りがたいオーラを醸し出しているらしく、女の子は遠巻きにして頬を染めていた。


知花さまの脇で、少し不機嫌にしている桜ちゃんの浴衣は、涼しげな水色で柄は知花さまと一緒。

でも……帯の位置や結び方を変えたら、女の子にしか見えないだろうなぁ……



「花乃ちゃん、なっちゃんは優しいかぁ?」


「うん、あたしには勿体ないくらい」


「そっか。……ありがとうな」



なんでお礼を言われたのか分からなくて、首を傾げて知花さまを見上げた。



「いやな。なっちゃんが祭りに出てくるなんて夢みてぇだよ。あの人嫌いを連れ出せるなんて愛の力は大きいなぁ?」



そんな真顔でこっぱずかしい事を……



「なっちゃんを、よろしくな」