お祭りには、村を出ていった人達が帰ってきたり
観光客や、ちょっと山を下った所の町から、沢山の人がやって来る。
……ちなみに、永野絵里のお父さんは、その町の町長さん。
あたしや桜ちゃんは、毎日山を下って学校に通っていた。
えっと……脱線したけれど、とにかく普段では考えられないくらい人が居るって事。
巾着を片手に待ち合わせの一本杉の所へ向かうと、そこには沢山の出店が店を広げていた。
どうしよう……那月さんは携帯を持っていないし、こんな所で見付けられるかな?
「花乃、どこを見てるんですか?」
……心配は無用だったんだね。
直ぐ後ろで、不思議そうに首を傾げている那月さんの姿にホッと息を吐き出した。
「この村の規模なので、お祭りの賑やかさを甘く見ていました」
「人多すぎる?辛かったら……」
「いいえ、そう言う意味じゃないですよ。純粋に驚いたんです」
表情をちゃんと見ようと近付いて、漆黒の瞳の中を覗き込んだ。
良かった、無理はしてないみたい。
「信用されてませんね?」
「だって……辛くても無理しちゃうでしょ?」
せっかく楽しみにしてたんだからって。
然り気無くあたしの手を握って、花乃が居れば大丈夫ですと微笑んで見せた。
那月さん……回りの視線気になりません?
女の子達が、那月さんの色気当てられて真っ赤になってるんですけど……
