花色の月


昼間のお神輿は、毎年見逃してる。

今年も、お神輿の時間になって急いで走っていく光さんを見送った。





夕方、とは言え夏の事だからまだ辺りは明るいんだけど。

そんな中、あたしと明美ちゃんは二人で浴衣の着付け中。



「よっしゃ!じゃあ髪からな」


「ありがとう、明美ちゃんは大人っぽいね?」


「ん、花乃はふわふわっと可愛くしたるな」



明美ちゃんの手が、あっという間にあたしの髪をアップしていく。

明美ちゃんは手先が器用だなぁ。


白い花飾りを付けて貰って、可愛くていつものアップとは違った雰囲気にしてもらった。

那月さん…誉めてくれるかな?



くちなしの浴衣を羽織ると、直ぐに明美ちゃんが帯を結んでくれる。


「フフッ、花乃には花文庫が似合うやろ」


「似合うかは……分かんないけど、ありがと」



蝶々結びみたいな花文庫にしてもらったあたしは、明美ちゃんの帯をしだれ桜に結ぶ。



「ねぇ、お神輿見なくて良かったの?」


「ん?しゃあないやん。あの時間には出れんし」



光さんは、明美ちゃんに見て欲しかったんじゃないかなぁ……

川に入って水を浴びたり、なかなか激しいのが特徴のお神輿担ぎは、毎年結構な見物客で賑わう。