花色の月


裏に荷物を運びながら、小さくため息を吐いた。

あたしは、あんなキラキラした瞳を持つ事は、もう無いだろう。

だから、どこか引け目を感じてしまうんだ……



「花乃、今日は明美と交代で行くんですか?」


「はい、おばあ様は行かないの?」



毎年、お祭りの日は月守旅館は満室になる。

それでも、お祭りに行きたいあたし達は交代で出掛ける事に決めていた。

まぁ、お祭りの時に部屋に籠ってる人は、あんまり居ないから待機してる人は少なくても大丈夫なんだけどね。


「今日は恵美が来ますから、あなた方はお祭りを楽しんでいらっしゃい」


「えっ?でも、恵美さんもお祭りに来るんじゃないの?」


「いいえ、花乃と明美をお祭りに行かせてあげたいって話したら、お手伝いに来てくれるのよ」



ずっと黙っていたのは、どうやらあたしと明美ちゃんを驚かせる為だったみたい。

交代で出掛けるとなると、どこか落ち着かないけれど、今日は思いっきり楽しんでもいいみたい。



いたずらが成功したような顔でニコニコするおばあ様に、ギューッと抱き付いた。



「おばあ様、ありがとう!」


たぶん、おばあ様はこの日の為に、恵美さんと和解してお手伝いを頼んでくれたんだ。


「あっ……瑞穂(みずほ)ちゃんは?」


那月さんにお熱の新人さん。